時折ハウスメーカー時代に担当させて頂いたお客様よりご連絡を頂くことがありました。
メンテナンスに関する相談が主で、家も築10年を過ぎた頃からちょっとした不具合や
調整が増えてくるものです。
10年目の無償メンテナンス期間が終了し、担当者もいなくなってしまうため、誰に相談
したらいいか分からず、当時担当だった私にご連絡を頂くのです。
会社を退職することで守秘義務やそのほかの問題が起こらないよう、私からはお客様に
コンタクトを取らないようにして参りました。
ところがお客様の方より直接ご相談を頂くようになり、本当は対応をしたいのですが、
その際はなるべく「建てた会社にまず相談してください」と返しておりました。
会社を辞めて独立した立場で言えた義理ではないのですが、ハウスメーカーは例外なく
人の入れ替わりが激しいため、途中で担当が入れ替わったり、担当者自体がいなくなったり
するため、入居後のメンテナンスも外注に丸投げが多く、ちょっとした相談や気軽な相談
が出来ないのが現状です。
独立して約7年経ち、当時担当した家も10年を超える建物が増えて参りましたので、お困り
の方もいらっしゃるので一定の区切りと考えお客様を一軒づつ訪問させていただくこととしました。
前職の会社との関係で名簿や資料は全て置いてきましたが、当時担当した170軒どの家も
お客様と真剣に打合せをし、間取りを考えて建築中も現場監督以上に現場に行っていたので、
私にとってはどの家も一軒一軒が本当に思い入れのある掛け替えのない記憶の財産のため、
場所も含めて鮮明に覚えています。
記憶をたどるようにお客様の家を訪問させて頂くと、皆さん本当に喜んでくれて、
中には「待ってたよ」と言って頂くお客様もいて涙が出るほどうれしい瞬間です。
一旦は担当を離れることになり、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、改めて生涯を
通したお客様として今後もお付き合いできることを心より感謝致します。
気軽に相談できる先があることでお客様の不安も軽くなり、安心してお住まい頂けることが
何よりの喜びです。
「これからは何かあれば直ぐにすっ飛んで来ますので!」とお客様とお約束をしつつ現在も回らせて
頂いております。
例え会社を辞めても人との関係は変わらず続いていくのだと改めて実感しました。
現在の会社の名前の由来である「縁と人」Enjinだと思い、これからも大切なご縁をたくさん紡いで
参りたいと思います。
家づくりに携わって本当に良かったです!
