些細なことに人は常に試されている。
ハウスメーカー勤務の時代に営業マンとして家づくりを担当させて頂いたA様よりご連絡が来た。
かれこれ20年近くのお付き合いになる。
基本的に前職を辞めてからは会社の手前、こちらからご連絡を取ることは無いのだが長いお付き合いの中で
人として信頼関係もあり、何かあるとご連絡を頂いた。
辞めても尚お付き合いを頂けるのは本当にありがたいお話です。
で、ご連絡の内容としては『トイレの換気扇の調子が悪いのでどうしたらいいか?』という内容でした。
本来であれば建てた会社に連絡するのが普通であるが、知らない人に頼むのは不安だし、家のことをよく知っている
私に相談したいということだったので、とりあえずお伺いすることに。
現地で確認するも、やはり部品の寿命なのか換気扇は全く動かない。
A様に代わって製品メーカーに問い合わせし、結果後日メーカーが来て対応して頂くこととなった。
その後も『ドアの調子が悪いので見て欲しい』とドアの調整に伺ったり、些細なことでも頼って頂くことが多くなった。
とは言っても料金を頂くほどの内容でも無かったため、いつも無償にて対応していた。
ところがその後、15年以上経ってくると器具も交換時期を迎えるため、相談内容も大きくなっていった。
給湯器の交換に始まり、トイレの改装、キッチン、最後は外壁の塗り替え。
そのあと追加でご実家の建て替え工事をお任せ頂くこととなった。
思えば、些細な問題にどう向き合うのかと言うことを常に誰かに試されていた気がします。
昔、中村文明さんという方の講演を聴いたことがあります。
『頼まれごとは試されごと』、人は常に何かを頼まれた瞬間、相手から無意識に試されているとのこと。
些細なことでも即座に対応するのか、些細なことだから後回しにするのか、損得で考える人もいるでしょう。
些細なことにも間髪入れずに全力で取り組める人には、こんなことにも真剣に取り組んでくれたんだと、
更に信頼が増し、次にもっと大きな頼み事がやってくるのです。
そうやって着実に信頼を築くことで、思ってもいない幸運に繋がる。
はじめは些細な切っ掛けがやがて大きなビジネスへとつながってゆくのは、まさにわらしべ長者のようです。
階段を1歩づつ上がることで揺るぎない信頼を重ね、仕事の大小は関係なく全力の姿勢を常に誰かが見ているのです。
人が見ていないと思われるところに人の本質は現れるものです。だからこそ常にブレない姿勢で何事にも相手の
ことを考えて行動していきたいと思います。